FCC全体会議レポート・福島県の教会とつながり続けるとは

福島県の教会とつながり続けるとは」   クラッシュ・ジャパン代表理事   永井敏夫

 

11月10日(火)の午後、須賀川シオンの丘で福島県キリスト教連絡会(FCC)の全体会が開催された。緩やかな斜面には数々の柿の木が数え切れないほどの実を実らせていた。会場には福島県内の牧師方を中心に約20名が集まっておられ、午前中には福島県内の福音放送「ライフライン」を支える会議が持たれていた。

 

司会を船田肖二先生(白河栄光)がしてくださり、まず出席者が簡単な自己紹介をした。続いて、木田惠嗣先生(郡山キリスト福音)から「福島の今」ということでお話があった。人々は通常の生活をしているが、今も尚、仮設住宅、復興住宅で暮らしている方々がいるという現実がある。仮設住宅はおそらくあと1-2年で無くなるが、双葉町の方々のようにふるさとに戻ることのできない方々がおられる。放射能は線量が低下してきているが、子どもを持つ母親方は、甲状腺癌などの発生のニュースなどもありさらに不安が強くなっているように思われる。教会の献金も減少しており、支援ネットワークを活かして活動していくには各教会が健康であることが必須であることが語られた。

 

続いて「支援活動」の調整役の住吉英治先生(勿来キリスト)のリードのもと、各地域の支援活動の様子が語られた。郡山には、関東の教会から給食と音楽の支援(継続して年四回)があり、仮設の方々に喜ばれたという報告が太田尾達三先生(郡山聖書パブテスト)からあった。高橋拓男先生(会津聖書)は、次のように語った。会津には大熊町から7000人が避難してきていたが、現在は1500人くらいに減少した。今いる方々は高齢のため他に動けない方々、学齢期の子どもたちのことを考え、卒業の区切りまでいようと決めている方々である。ちょっとした物を持って仮設を訪問し続けることを、人々が喜んでくれている。ほとんど仮設を出ることの無い年配の方々のために一台のワゴン車を借り、新潟にお連れしたが本当に喜んでくださった。

いわき方面では、楢葉町、富岡町に支援の拠点となる住居をお借りし、将来的には礼拝をという考えがあるが、放射線量などの課題も大きいことを住吉先生が話された。南相馬の状況が石黒實先生(南相馬キリスト)から紹介された。福島第一原子力発電所まで22キロの所にある南相馬市では、42000人の内三分の一は市外に住んでいる。一方その方々の倍くらいの人々が全国各地から車で来て、除染活動のために居住している。南相馬地域に入るボランティアの数は本当に少ないという現状も報告された。

福島地区(県北地域)では、毎月ミーティングをし、教会同士の励ましにもなっていると久場政則先生(北信カルバリー)は話してくださった。この地区の教勢は減少傾向にあり、二名の牧師が召された。日本聖書協会の支援で、県北にある25教会のうち、賛同を頂いた18教会を紹介した共同教会案内パンフレットを作成した。肥満度が上昇したり、情緒の不安定な子どもが少なくないと言われる県内の子どもたちに対し、遊ばせる機会として「キッズパーク」を月に一回行っており、200人くらいの参加がある。県内のその他の地域でも諸教会が仮設住宅に訪問しイベントをしている

 

子ども保養プログラムである「福島HOPE」の活動の様子をスタッフの塩津由扶子さんが紹介してくれた。中通り(福島県中央部)の子どもたちを中心に、8月、9月、10月とキャンプをしてきた。(会場は新潟県、山形県の青年の家など)12月には雪遊びキャンプを予定している。最近の傾向として、浜通り(いわき方面)からの参加申し込みが続いている。また、東日本大震災後に出生した幼児(3-4歳)を持つお母さん方が体のことを気にしている。母親たちが自分たちで保養プログラムを企画しようというグループもでき、福島HOPEで企画募集のお手伝いをしたいと考えている。

 

放射能計測」について岸田誠一郎先生(福島聖書)から説明があった。放射能対策室には、三台の計測器があり、計測活動、放射能問題学習会を実施している。HSF:Hot Spot Finder(ホット・スポット・ファインダー)を用いて県内を中心に計測しているデータの紹介もあった。線量は急激には下がらないこと、池沼や河川の近くの線量が高いこと、線量は福島第一原子力発電所の同心円には関係が無いことなども語られた。

 

相模原牧師会・「ミッションみちのく」から阿部信夫先生(相模原グレース)が出席しておられ、岩手県大船渡で9月に開催された星野富弘詩画展が多くの人々に生きる力と励ましを与えたことが報告された。またNature & Human Japanという団体の姉妹から障害を持つ子どもたちをハワイで保養するプログラムの紹介があった。ハワイでの受け入れ態勢が作れるようにというお祈りの課題が出された。クラッシュ・ジャパンとしては、引き続き傾聴プログラムについて紹介する機会があった。

 

福島県内の牧師方が2-3ヶ月県外で保養できる場所を求めていること、またその間の説教の支援という必要もあることが語られた。スイッチがいつもオンになっている状態に近いのかもしれない。数日でも牧師リトリートにいけたらという正直な声もあった。これらの思いに応答するための何らかの窓口の設置が求められている。

 

今回のレポートを読む方々が、「神さま、私に願っておられることは何ですか?」と祈り、神さまに聞いていけますように。そして福島県内の教会とつながり続けていけますように。 来年3月8日(火)にはまた須賀川シオンで祈りの集いが予定されている。

福島県キリスト教連絡会

福島県キリスト教連絡会

11月10日(火)の午後、クラッシュ・ジャパン代表理事の永井先生が、福島県須賀川のシオンの丘で開催された福島県キリスト教連絡会(FCC)の全体会に出席しました。福島県内で復興支援活動を続けている20名弱の牧師、スタッフの方々が集い、現状の報告、課題の分かち合い、そして祈りの時をもちました。

放射能の影響に不安を抱きながらも、日々歩んでいる方々に、福島の教会は仕えてきました。そしてその働きは今後も続いていきます。

福島のために、祈り、その必要に応答していく歩みが日本の教会や支援団体に求められています。

 

9月29日(火)第6回東日本宣教ネットワーク

9月29日(火)第6回東日本宣教ネットワーク全体会議
テーマ:長期的支援を持続し、被災者と共に歩き続けるために」
場所:仙台バプテスト神学校
クラッシュ・ジャパンから郭ヘレン(ケア・コーディネーター)と岩上敬人(チャプレン担当)が参加し、講演とワークショップを行います。
クラッシュ・ジャパンでは心のケア・スピリチュアルケアを中心とした、「支援者」のための支援活動を継続しています。
この働きは、DRCネットの災害対応チャプレン養成プログラムとも連動しています。
クラッシュ・ジャパンの働きを覚えてお祈りをお願いします。またこのような働きは、皆さまからの尊い献金によって成り立っています。どうぞ経済的な支援も宜しくお願い申し上げます。
東日本宣教ネットワーク2015.9.29東日本宣教ネットワーク2015.9.29-2

『あの時は今:70年前そして4年前』

『あの時は今:70年前そして4年前』
1945年3月10日。東京大空襲で10万人の方々が亡くなり、数え切れないほどの方々が被害を受けました。あれから今年で70年が経ちます。今日都内で記念の集いがあります。2011年3月11日。東日本大震災が発生し、約2万人の方々が亡くなり、行方不明となりました。明日で4年目のあの日を迎えます。仮設住宅在住の方々を含め、約23万人の方々があの日にいた場所に戻ることが叶いません。
人間は、ある時は意識的に、ある時は無意識のうちに過去を過去形という入れ物に留めようとします。こうすることで今を生きることができるのも確かでしょう。この様にして、大空襲、大震災もやがて「風化」していくことは避けられません。しかし、今を生きる私たちに忘れてはならないことがあります。あの時を今という「現在進行形」で生きている方々がいることを。大震災の被災地各地で、日本でアジアで世界で、今日祈りの手があがっています。クラッシュジャパンでは、あの日を今日という進行形で生きている方々を心に覚え祈ります。リエゾン永井敏夫

Love On Japan | Crash Quake Reliefさんの写真
Love On Japan | Crash Quake Reliefさんの写真
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クリスマスの思いを東北へ

震災から3年と9ヶ月が過ぎました。クリスマスのこの時期に東北へ覚えて献げましょう。

被災地域では数々のプロジェクトがなされていますが、三県の主なネットワー

クの紹介します。現地での活動の様子や祈りの課題などを、諸団体がそれぞれの

ウェブサイトで紹介をしています。

・岩手県:いわて3.11 教会ネットワーク⇒ http://311.ichurch.jp

・宮城県:ホープみやぎ⇒ http://www.hopemiyagi.org

・福島県:福島県キリスト教連絡会(FCC)⇒http://fcc-j.org

スクリーンショット 2014-12-13 22.20.55また引き続きクラッシュジャパンの働きを覚えてくだされば感謝です⇨http://crashjapan.com/give/?lang=ja